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2015/06/11

第140回大原美術館ギャラリーコンサート ご来場ありがとうございました

6月10日(水)に第140回大原美術館ギャラリーコンサート「第3回東京国際ヴィオラコンクール入賞記念ガラ・コンサート」が開催されました。アンコール曲のご紹介です。

第140回大原美術館ギャラリーコンサート
「第3回東京国際ヴィオラコンクール入賞記念ガラ・コンサート」

出演
今井信子(ヴィオラ)
フランソワ・キリアン(ピアノ)
アンドレア・ブルガー(第3回東京国際ヴィオラコンクール第1位)
東条 慧(同第2位)
ルイーズ・デジャルダン(同第3位)

■日 時  2015年6月10日(水)18時30分開演

■会 場  大原美術館 本館2階ギャラリー

■曲 目
クララ・シューマン:3つのロマンス op.22
【演奏】今井信子(ヴィオラ)/フランソワ・キリアン(ピアノ)
G.ノックス:無伴奏ヴィオラのための“Fuga libre”(2009)
≪第1回東京国際ヴィオラコンクール委嘱作品≫
【演奏】第1位入賞者 アンドレア・ブルガー(ヴィオラ)
J.S.バッハ:シャコンヌ ト短調
【演奏】第2位入賞者 東条 慧(ヴィオラ)
B.A.ツィンマーマン:無伴奏ヴィオラソナタ(1955)
【演奏】第3位入賞者 ルイーズ・デジャルダン(ヴィオラ)
藤倉 大:Engraving for viola(2014)
≪第3回東京国際ヴィオラコンクール委嘱作品≫
【演奏】第3位入賞者 ルイーズ・デジャルダン(ヴィオラ)
ブラームス:ヴィオラソナタ ト長調
(原曲:ヴァイオリンソナタ 第1番 ト長調 op.78)
【演奏】第1位入賞者 アンドレア・ブルガー(ヴィオラ)/フランソワ・キリアン(ピアノ)

■アンコール曲
テレマン:4つのヴィオラのための協奏曲
(原曲:4つのヴァイオリンのための協奏曲)

梅雨の晴れ間となった良日、コンクール入賞の栄誉に輝いた若いヴィオリストたちのお披露目公演が、大原美術館でおこなわれました。「第3回東京国際ヴィオラコンクール」1位2位3位入賞者と、審査員長を務めた世界的ヴィオリスト今井信子さんのステージです。

同コンクール入賞記念ガラ・コンサートは、3年前にも大原美術館で開催。厳しい審査を経た若手奏者たちの才能あふれる熱演を、コンクール直後のタイミングで間近に体感できる機会とあって、多くのご来場ご好評をいただきました。
倉敷2回目となる今回のガラ・コンサートも、お客様の大きな拍手に迎えられ、入賞者それぞれ個性的な演奏が披露されました。

1位のアンドレア・ブルガーさん(スイス)は、無伴奏の現代曲とブラームスの「雨の歌」で、まったく質感の異なる音響表現に取り組み、ヴィオラが持つ高いポテンシャルを目の覚めるようなテクニックで聴かせてくれました。
特に最初の無伴奏曲は、パリを拠点に活躍するヴィオラ奏者ガース・ノックスによる第1回同コンクール委嘱作品で、コンクールに挑む若者への強いメッセージを感じさせる内容。時代をこえて演奏家たちの挑戦を受けて立ち、弾き継がれていくべき作品のひとつといえるでしょう。
2位の東条 慧さん(甲府市)のバッハ「シャコンヌ」も、当夜のお客様に強い印象を残したのではないでしょうか。彼女はこの度、第2次審査課題曲のうち同曲において優れた演奏が認められた出場者に贈られる「バッハ賞」を受賞、まさに審査員お墨付きの楽曲を披露してくれたのでした。
また東条さんは、本選会場でお客様の投票によって選ばれる「聴衆賞」も併せて受賞しました。聴きてのハートをつかむ演奏家として今後ますます成長されることでしょう。
そして3位のルイーズ・デジャルダンさん(フランス)は、2つの現代作品を演奏。
“天使の歌”という副題を持つ「無伴奏ヴィオラソナタ」は、ドイツの作曲家ベルント・アロイス・ツィンマーマンの作品で、生後まもなく亡くなった娘を悼んだ音楽なのだとか。もうひとつは今回のコンクール委嘱作品として新しく書かれた、気鋭の作曲家 藤倉 大による「Engraving for viola」。いくつかの楽曲構成要素を演奏者が選べるようになっていて、その組み合わせ次第では144通りに演奏できるらしいのです。こうした難曲に向き合い表現していく若いヴィオリストの意志の力を、デジャルダンさんの研ぎ澄まされたソロ演奏からも聴き取ることができました。

一方、3人の演奏に先立ち、開演1曲目に登場した今井さんの豊かな音色は、続く若い彼女たちの飛翔をうながすような、美しいお手本を見る思いでした。それは、アンコール演奏でヴィオリスト4人が並び、テレマンの無伴奏曲を絶妙の呼吸で合奏する姿にも感じられたことでした。
またこの日は、今井さんとブルガーさんの演奏をサポートし、前回以上にベヒシュタイン・ピアノを冴えた響きで歌わせたキリアン氏の手腕にも感服。コンクール公式伴奏者をつとめるピアニストの実力と懐の深さに改めて敬意を表したいと思います。

当夜は暑い会場で最後まで演奏をお聴き下さり、あたたかい拍手をいただきましたご来場の皆様に心より感謝と御礼を申し上げます。ありがとうございました。

ヴィオリスト4人が奏でるアンコール演奏(左からブルガー、今井、デジャルダン、東条)