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2009/07/21

ヤンソンスが語るバイエルン放送響【その2】

「バイエルン響の魅力は、とてもドラマティックなところ。私とこのオケは似ています。調和し共鳴するところがあるのです」と、愛情たっぷりに語るヤンソンス。倉敷でのコンサートでは、ベートーヴェンとチャイコフスキーという、ヤンソンスとバイエルン響が最も得意とする曲目が並びました。
ヤンソンスは曲選びや、演奏へのアプローチについて「モダンとか、クラシックとか、そういう範疇で選んでいるのではありません。とにかく、その曲が好きかどうかです。曲を選んだら、書かれた社会的な背景や作曲家の思いに迫るため、できる限りの努力をする。音楽は抽象的なものですが、理解することで深まります。人生での経験も加わり、同じ曲でも演奏のたびに発見がある。それに、聴衆との出会いが大きい。その日その時の演奏は、聴衆と一緒に作り上げるのです」
と語ります。
あくまで曲で、と語るヤンソンスですが、チャイコフスキーとベートーヴェンには深く傾倒しているようです。
「チャイコフスキーはオスロ・フィル時代に全集を出しました。バイエルンで首席に就任したとき、初めて出したCDも第6番『悲愴』です。ドラマティックな音楽は、バイエルン響にぴったりです」と自信をみせています。また、ヤンソンスは常々「私はラトビア生まれなのですが、母国は戦前はドイツ文化の影響を受け、戦後はロシアの影響が大きかった。私のアイデンティティの形成にこのコンビネーションが絶妙でした」と言います。ロシアを代表するチャイコフスキーの曲を、ドイツのバイエルン響が、ラトビアのヤンソンスの指揮で披露する・・聴き応えたっぷりの機会になるでしょう。「オスロ時代は私も40代。やれやれずいぶん歳を取ったものです。でも、理解が深まり、より良いチャイコフスキーになっているといいですね!」
ベートーヴェンに関しても「年齢を重ねるごとに、彼にひかれています」と言います。「作曲家より作品で選ぶ、といいましたが、彼は別格。哲学的で、とても深く、それに、すばらしい演奏効果があるんです」。共演の五嶋みどりさんとも長い交流があり、5年前には同じペアで日本公演を成功させました。
ヤンソンスは毎年の日本公演を本当に楽しみにしています。「本当に熱心に音楽を聴いてくださる。音楽を理解する魂がありますね。友人も増えましたよ!心配ごとがあるとすれば、何度もおじゃまして飽きられていないかな。いつも喜んでくださって光栄ですが、責任も倍増している、と感じているんですよ」と笑顔になりました。

髪をとかすヤンソンス

コンサート後、にこやかに談笑するヤンソンスとイリーナ夫人(左)