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2006/07/21

ヤンソンス&コンセルトヘボウ直撃インタビュー!!【その3】

【ニューイヤーこぼれ話】

ヤンソンスといえば、今年のウィーンフィルとのニューイヤーコンサートが記憶に新しいですね。花で飾られた、まるで宮殿のような楽友協会ホールでのコンサートを中継でごらんになった方も多いと思います。ヤンソンスは近年、ウィーンフィルとの共演も非常に多いですが、ニューイヤーの登場は初めて。ラトヴィアの首都リガに生まれ、レニングラード(現在のサンクトペテルブルグ)とウィーンに学んだヤンソンスにとって「ウィーンは特別な街。第2のふるさとです。新年の大役はとても光栄でした」といいます。

「800曲に及ぶシュトラウス・ファミリーの曲から、ポピュラーな曲と、余り知られていないが私が大好きな曲を、半年かけ、バランス良く20数曲にしぼりました」。モーツァルトの生誕250年も意識した遊び心のあるプログラム。「電話のポルカ」では、曲の最後にヤンソンスの携帯電話が鳴るというイタズラ付きで会場を沸かせました。「新春の祝祭ムード漂う演奏会では、いつも少し仕掛けをするのが伝統です。携帯電話のジョークは私のアイデアです。私が。なんだか恥ずかしそうだったって?いいえ、自信たっぷりでしたよ」と笑います。

収録したCDは世界中で大ヒット、「6月にウィーンでプラチナセールスの賞を受けました。今年はグラミー賞と、カンヌでの芸術賞もいただいて、とても実り多い年。その終盤を飾るのが日本公演です」。世界から賞賛されるヤンソンスは、そのことをどう受け止めているのでしょう。「誰だって褒められると嬉しい。でも、それからの態度が一番大切です。賞賛で、さらに良い質の音楽を提供する責任も負う。私は勤勉すぎて、それが欠点でもあるのですが、一番嫌いなのは傲慢と惰性なんですよ」。

倉敷でも、きっとヤンソンスの人間性が伝わるコンサートになると思います。「なかば狂ったような側面もある現代にあって、日本は伝統を守りつつ、新しいものを取り入れる能力に優れている。それに聴衆の音楽への情熱も素晴らしい。みなさんとの出会いを心から楽しみにしています」と、ヤンソンスは力を込めました。
(京都新聞社 井上理砂子)

「日本の聴衆は表情で気持ちを表したりしないけれど、静かな中に審美眼があるんだよ」とヤンソンス。