ニュース 一覧へ戻る 2014/12/22 第138回大原美術館ギャラリーコンサート ご来場ありがとうございました GALLERY CONCERT 12月20日(土)に第138回大原美術館ギャラリーコンサート「崔文洙(ヴァイオリン)&上岡敏之(ピアノ) デュオ・リサイタル」が開催されました。アンコール曲のご紹介です。 第138回大原美術館ギャラリーコンサート 「崔文洙(ヴァイオリン)&上岡敏之(ピアノ) デュオ・リサイタル」 出演 崔文洙(ヴァイオリン) 上岡敏之(ピアノ) ■日 時 2014年12月20日(土) 18時30分開演 ■会 場 大原美術館 本館2階ギャラリー ■曲 目 J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ホ長調 BWV1016 シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 op.121 ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ op.134 ■アンコール曲 モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454 より 第2楽章 ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ(未完成) 例年より早い真冬到来で、この日も夕刻から冷え込みが厳しくなりました。お寒い中、またお忙しい年の瀬の週末にもかかわらず、たくさんのお客様にご来場いただき、心より御礼を申し上げます。 かねてより評判を呼んでいた“ピアニスト”上岡敏之さんと、新日本フィルのソロ・コンサートマスター崔文洙(チェ・ムンス)さんのデュオが初披露されるとあって、当夜は県外からも熱心なファンの方が詰めかけ、ほぼ満席となりました。これまで「指揮者/オーケストラ」の立場で共演を重ねてきた2人が、「演奏家×演奏家」として向き合う、新たな音楽活動の記念すべきステージです。 1曲目のバッハから、2つの楽器それぞれの旋律が互いを美しく照らし出す様子に耳を奪われ、このデュオがただならぬ偉才のカップリングであることを実感。次のシューマンでも、双方の情熱のやりとりがそのまま音色になってあふれていくようで、丁々発止の火花を散らせながらも、シューマン独特の憂いと華やかさを実に鮮やかに描き出していました。とりわけ昔ドイツの劇場でコレペティトールとして鳴らした上岡さんのピアノが時折、歌の呼吸でヴァイオリンに寄り添っているのがとても新鮮で、聴きてを包み込む音楽の懐の深さを改めて意識させられたことでした。 最後は、モスクワ留学で学んだ崔さんにとって、ひときわ思い入れの強いショスタコーヴィチ。緊張感をはらんだサウンドは、表現者としての本領が試される難曲でもあります。混沌とした人間の内奥を覗き込むような、意志の力を感じさせる圧巻の演奏でした。 熱烈な拍手に応えて、アンコールはモーツァルトのソナタから。来し方を振り返る時節に聴くモーツァルトのなんと甘美な安らぎに満ちたメロディでしょう。先ほどのショスタコーヴィチのあとだけに、もううっとり聴き入るばかり。そして再び拍手で呼び出された2人のチョイスは、本日2回目のショスタコーヴィチ、近年出版されたばかりの未完成ソナタでデュオ初公演を締めくくりました。提示部225小節だけで終わってしまう作品ですが、これはつまり、「でも僕たちの音楽は、ここで終わりませんよ」というメッセージとして承ってよろしいかと。 上岡さんは先日、新日本フィルの次期音楽監督就任(2016年9月~)が発表され、また「齋藤秀雄メモリアル基金賞」(指揮部門)受賞の朗報も届いたばかりです。 上岡さん、崔さんの素晴らしいパートナーシップで、このスーパー・デュオも更なる冒険を続けていかれますよう願ってやみません。 ♪次回ギャラリーコンサートは2015年4月4日(土) 第139回大原美術館ギャラリーコンサート 「アレクサンドル・メルニコフ ピアノ・リサイタル」です。 ご来場をお待ちいたしております。 Ⓒ武藤 章 名画に囲まれた会場で聴く演奏はまた格別です 前の記事 次の記事
12月20日(土)に第138回大原美術館ギャラリーコンサート「崔文洙(ヴァイオリン)&上岡敏之(ピアノ) デュオ・リサイタル」が開催されました。アンコール曲のご紹介です。
第138回大原美術館ギャラリーコンサート
「崔文洙(ヴァイオリン)&上岡敏之(ピアノ) デュオ・リサイタル」
出演
崔文洙(ヴァイオリン)
上岡敏之(ピアノ)
■日 時 2014年12月20日(土) 18時30分開演
■会 場 大原美術館 本館2階ギャラリー
■曲 目
J.S.バッハ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ホ長調 BWV1016
シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ短調 op.121
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ op.134
■アンコール曲
モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454 より 第2楽章
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタ(未完成)
例年より早い真冬到来で、この日も夕刻から冷え込みが厳しくなりました。お寒い中、またお忙しい年の瀬の週末にもかかわらず、たくさんのお客様にご来場いただき、心より御礼を申し上げます。
かねてより評判を呼んでいた“ピアニスト”上岡敏之さんと、新日本フィルのソロ・コンサートマスター崔文洙(チェ・ムンス)さんのデュオが初披露されるとあって、当夜は県外からも熱心なファンの方が詰めかけ、ほぼ満席となりました。これまで「指揮者/オーケストラ」の立場で共演を重ねてきた2人が、「演奏家×演奏家」として向き合う、新たな音楽活動の記念すべきステージです。
1曲目のバッハから、2つの楽器それぞれの旋律が互いを美しく照らし出す様子に耳を奪われ、このデュオがただならぬ偉才のカップリングであることを実感。次のシューマンでも、双方の情熱のやりとりがそのまま音色になってあふれていくようで、丁々発止の火花を散らせながらも、シューマン独特の憂いと華やかさを実に鮮やかに描き出していました。とりわけ昔ドイツの劇場でコレペティトールとして鳴らした上岡さんのピアノが時折、歌の呼吸でヴァイオリンに寄り添っているのがとても新鮮で、聴きてを包み込む音楽の懐の深さを改めて意識させられたことでした。
最後は、モスクワ留学で学んだ崔さんにとって、ひときわ思い入れの強いショスタコーヴィチ。緊張感をはらんだサウンドは、表現者としての本領が試される難曲でもあります。混沌とした人間の内奥を覗き込むような、意志の力を感じさせる圧巻の演奏でした。
熱烈な拍手に応えて、アンコールはモーツァルトのソナタから。来し方を振り返る時節に聴くモーツァルトのなんと甘美な安らぎに満ちたメロディでしょう。先ほどのショスタコーヴィチのあとだけに、もううっとり聴き入るばかり。そして再び拍手で呼び出された2人のチョイスは、本日2回目のショスタコーヴィチ、近年出版されたばかりの未完成ソナタでデュオ初公演を締めくくりました。提示部225小節だけで終わってしまう作品ですが、これはつまり、「でも僕たちの音楽は、ここで終わりませんよ」というメッセージとして承ってよろしいかと。
上岡さんは先日、新日本フィルの次期音楽監督就任(2016年9月~)が発表され、また「齋藤秀雄メモリアル基金賞」(指揮部門)受賞の朗報も届いたばかりです。
上岡さん、崔さんの素晴らしいパートナーシップで、このスーパー・デュオも更なる冒険を続けていかれますよう願ってやみません。
♪次回ギャラリーコンサートは2015年4月4日(土)
第139回大原美術館ギャラリーコンサート
「アレクサンドル・メルニコフ ピアノ・リサイタル」です。
ご来場をお待ちいたしております。
Ⓒ武藤 章
名画に囲まれた会場で聴く演奏はまた格別です