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2008/10/20

倉敷歳時記 その4 秋の倉敷美観地区 -阿智神社の秋祭-

倉敷美観地区の秋は阿智神社の祭も盛大に執り行われ、「屏風祭」とともに町はいっそう賑やかになります。

総勢200人以上による時代行列が一日かけて町内を巡り、氏子の男衆がかつぐ神輿(みこし)の一行が時折勇ましい掛け声で駆け出すたびに、観光客からは拍手と歓声が。各所で神輿を止め、高く振り上げて、その下を人々がくぐる“神魂振り(みたまふり)”が始まると、ご利益にあやかろうと観光客も地元の人も一緒に列をつくって、お祭り気分を盛り上げていました。

倉敷川では、女神と装束姿の楽師が倉敷川を川舟で進む「三女神舟巡幸」がおこなわれました。倉敷考古館前の高砂橋あたりから、大原美術館前の今橋まで、手漕ぎの川舟で進む様子は、まるで時代絵巻のよう。笙(しょう)、ひちりき、横笛の優雅な音色が流れる中、柳と萩が揺れる間を今橋まで漕ぎ着くと、祭行列の到着と同時に神輿が恭しく橋に置かれ、そこで三女神による舞いを奉納。観光エリアのど真ん中に現われた神聖な舞台を、数百人の見物客が見守りました。

祭の間、通りには、じじ・ばばの面をかぶった「素隠居(すいんきょ)」があちこちに出没し、うちわで人々の頭をたたいてまわります。たたかれると賢くなるとか健康になるなどと言われ、突然うしろからバサッとうちわでやられて驚く人の表情が何ともいえません。要領がわかっている人たちは自分からすすんで頭を差し出し、うれしそうに何度もたたかれていました。

祭行列の最後は、阿智神社への長い石段を一気に駆け上がる“神輿の駆け上がり”。一日かついで練り歩いた神輿を力を振り絞って運び上げ、お山に戻します。
待ち構えた人々の声援に励まされながら、汗だくの男衆がどぉーっと駆け上がっていくさまは壮観です。
地元住民の気持ちがひとつになった祭本来の醍醐味が、この一瞬に凝縮されているような気がしました。

居合わせた誰もが祭の一員になって笑い、通りすがりでも遠慮なく声を掛け合って楽しめるのが、この倉敷の秋祭です。
来年も皆様のお越しをお待ちしています。

神輿の掛け声が勇ましく響きます

川舟に乗ってやってくる三女神

楽師の雅びな音色が川面を流れていきます