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2006/07/13

ヤンソンス&コンセルトヘボウ直撃インタビュー!!【その1】

オランダが誇る世界屈指の名門オーケストラ・ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団が11月27日、倉敷市民会館で待望のコンサートを開きます。率いるのは第6代首席指揮者、マリス・ヤンソンス。今年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートにも登場した、今、世界で最も多忙で人気のあるカリスマ指揮者です。バルトの小国ラトヴィアに生まれ、ロシア音楽の情熱とヨーロッパの優美さをあわせもつ指揮者は、また、大の親日家でもあります。「倉敷のように、地域に素晴らしいホールがあることが日本の音楽の強みだといつも感じます。私の創造の原動力は人との出会いなんですよ」と語り、倉敷での聴衆との新しい出会いを楽しみにしています。6月のアムステルダムにヤンソンスを訪ね、最新の活動や日本への思いを聞きました。また、オケで活躍する日本人演奏家にもお話を伺いました。
(京都新聞社 井上理砂子)

【倉敷の曲目は、ヤンソンスとオケの真骨頂】
コンセルトヘボウ管は1888年創立、ヤンソンスは2004年秋、第6代首席指揮者に就任しました。前回の来日はコンビ結成直後にもかかわらず息の合った演奏で聴衆を魅了、評論家の投票でその年の来日公演グランプリに輝くなど、日本での人気を早々とかち取りました。
コンセルトヘボウ管の持ち味は、なんと言っても本拠地の素晴らしいホールが育んだ“ビロードの響き”と賞される弦楽の美しさです。ヤンソンスはさらに「高貴で知的な音。多彩な様式の音楽を理解し、表現する力。伝統的である一方、質の高い演奏を追求する努力を欠かさず、野心もある」と惚れ込んでいます。「車に例えれば最高級車、ロールスロイスといったところです。首席指揮者の役割は、第一にこの音を守り伝えること。そして、『作曲家は誰か』ではなく、『作品に共感できるか』を基準に選曲した幅広いレパートリーを聴衆に提供することです」と語ります。
秋の日本公演もその言葉通り、堂々たる曲目が並びました。
特に倉敷では、ベートーヴェンとドヴォルザークという、ヤンソンスが常に「生涯の友」という作曲家の名曲が演奏されます。
ベートーヴェンはヤンソンスが最近最も情熱を傾けている作曲家です。「彼の哲学的な曲にひかれる。特に10年前、心臓病で倒れて以来、私自身が『生まれてきた意味』『この世での役割』などを深く考えるようになったことも理由なのですが」。
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界」は、最近コンセルトヘボウとヤンソンスのコンビで立ち上げた新レーベルからCDが発売された得意のレパートリーでもあります。コンセルトヘボウで第一首席ヴィオラ奏者を務める波木井賢さんは「ヤンソンスが心臓病から復帰した時、コンセルトヘボウに客演したのが『新世界』。通俗的ともいわれるこの曲をヤンソンスは神々しいまでに表現した。壮絶でした」と振り返ります。まさに、いま蜜月状態のオケと指揮者が得意中の得意な曲目を倉敷で披露するという訳です。
ヤンソンスは「何度演奏しても、そのたびに発見がある。最高に音楽を高めるリハを経て、本番では聴衆の力もあって素晴らしいことが起きるのです」と意気込みます。
(つづく)
♪次回は7月18日更新予定です

ドヴォルザーク「新世界より」は名指揮者の父アルヴィドの得意曲だったとか。「50年を経て、息子の僕がね。感慨深い。」と話していました。

本拠地コンセルトヘボウ