第85回くらしきコンサート
クリスチャン・ツィメルマン ショパン・リサイタル
2010年5月29日(土)19時(開場18時30分)
■会 場
倉敷市民会館
■プログラム
ショパン : ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 op.35
ショパン : ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 op.58 ほか
※演奏者の都合により曲目・曲順は変更になる可能性もございます。あらかじめご了承ください。
■入場料(全席指定)
- S:8,000円
- A:6,000円
- B:4,000円
学生:1,000円〔小学生~25歳までの学生:当日指定・前売のみ限定100〕
◎車いすを使用される方は、ホール所定の専用スペースでご鑑賞いただきます。希望される方は、くらしきコンサートまでお知らせください。入場料として、本公演ではB相当4,000円を申し受けます。ただし、S席・A席を購入された方が車いすで来場された場合、B券との差額をご返金することはできませんので、あらかじめご了承ください。
※本公演の学生券は「郷土の中高校生にクラシック音楽をプレゼントする会」のご協賛により助成をいただいております。
■座席イメージ図(1974席)
※座席表は倉敷市民会館HPよりご覧下さい。
※ご入場は小学生以上の方とさせていただきます。
※お子様のお膝の上でのご鑑賞はご遠慮いただいております。必ずお1人様1枚チケットをお求めください。
※当日は会場に託児所をご用意いたします。
クリスチャン・ツィメルマン
Krystian Zimerman
1956年、ポーランドのサブジェで、音楽が豊かな伝統として息づく一家に生まれる。家には音楽家たちが集い、ツィメルマンは、くつろいだ自然な形で生の演奏に日常的にふれる機会を与えられ、音楽に対する関心を早くから刺激された。音楽の最初の手ほどきは父親から。7歳から14歳まで、当時カトヴィツェ音楽院の上級講師を務めていたアンジェイ・ヤシンスキに師事。多くの権威あるコンクールに上位入賞を果たし、1975年ショパン国際ピアノ・コンクールの優勝で、一躍世界中のコンサート・ホールで演奏する道が開かれた。
ツィメルマンは、ツアーでも自前のコンサート・ピアノを使用する。自らの発明による技術的な改良を加え、楽器に対する自信と、スタインウェイ社との完全な協力体制で得られたピアノづくりの技術によって、純粋に音楽的な事柄に集中できるようになったのである。
比較的早い時期からヨーロッパ音楽の主流作品(ドイツ、ロシア、フランス)に親しんでいたおかげで、単なる「ショパンのスペシャリスト」にとどまらなかったツィメルマンは、むしろ、それぞれの作品を、それが生まれた土地・文化圏で演奏することに情熱を傾けた。フランス音楽をパリで、ベートーヴェン、モーツァルトやシューベルトをウィーンで、ブラームスをハンブルクで、そして作曲家レナード・バーンスタイン自らの指揮によってアメリカの作品をニューヨークで。「私がもし俳優だったら、シェークスピアをロンドンで、そしてチェーホフをロシアで演じることを目標とするだろう」とツィメルマンは主張している。
ポーランドを代表する作曲家ルトスワフスキ(1913-94)からは唯一のピアノ協奏曲が贈られ、ルトスワフスキ自らの指揮で1988年、ツィメルマンによりザルツブルクで初演された。
ツィメルマンは、卓越した室内楽の演奏家や指揮者との出会いに恵まれたことが最大の幸運であったと話している。これまで、ダンチョフスカ、キョンファ、クレーメル、メニューインをはじめとする40名以上の著名な音楽家たちと共演を重ねてきた。また、ピアノのみならずオルガンを演奏することにも並々ならぬ熱意を抱いている。オルガンの演奏は音楽のフォルムを横軸からとらえ、構築することに役立っている。そして、現代において最も輝ける指揮者たち、バーンスタイン、カラヤン、小澤、ムーティ、マゼール、プレヴィン、ブーレーズ、メータ、ハイティンク、スクロヴァチェフスキ、ラトルらとの共演によって、指揮についての造詣も深めた。
ツィメルマンは、アラウ、ミケランジェリ、ルービンシュタイン、リヒテルなど、自分よりも上の世代の著名ピアニストたちとも親交を深めた。そのことが彼の音楽的成長に多大な影響をもたらしたのは言うまでもない。
この公演は終了しました
ショパン・コンクールで優勝した当時、“ショパンの再来”と注目された18歳のツィメルマンは単なるショパン弾きとして扱われることを拒み、その後はドイツやロシア、フランスの作品などで世界に名を馳せたものでした。
しかし、ポーランド人である彼の心にいつも響き続けていたのは、やはり祖国の魂ともいうべきショパンの音楽だったにちがいありません。
2006年の倉敷公演で、ツィメルマンは当初の予定にはなかったショパンのバラードをプログラムに加えました。
「ぜひあなたのショパンを聴きたい」という多くのお客様の声を伝えると、快く聞き入れてくれました。ツアーの直前まで演奏曲の構成を検討し続け、納得いくまで発表しないことで知られる彼が、公演間際になって倉敷のお客様のためだけにショパンを1曲、真心こめてプレゼントしてくれたのです。
その至福のしらべに包まれながら、私たちはツィメルマンとショパンの断ちがたい深い絆を改めて思い知らされたような気がしました。
そしてショパン生誕200年の2010年。
ツィメルマンは、そのショパンと共に倉敷に帰ってきます。
数十年にわたる人生の実りの時を経て、ふたたびショパンと向かい合うツィメルマンの公演は、<ショパン・イヤー>最高の喜びとなることでしょう。